Column【日々前進6】「逆境の中で」

世界中を新型コロナウイルスの猛威が襲っている。


多くの感染者・犠牲者が出る中、各国とも少しでも多くの人命を守るために、また少しでも早くこの事態が収束するために国家を上げて戦っている。


勿論、日本だけなく世界中のサッカー界でもリーグ戦の延期・中止、選手スタッフは自宅待機でチーム活動はストップ。などの重大な影響が出ている。


浅野拓磨が所属するパルチザン・ベオグラードも例外ではない。


現在リーグ戦含む公式戦は中断、チームの活動もなく自宅待機で、選手は家の中で体を動かしながらいつ来るか分からない再開に向けて少しでもコンディションを保つように努めている。


今シーズン新天地へと移籍し、欧州での再起をかけてプレーしていた浅野はこれまでヨーロッパリーグ、国内リーグ戦・カップ戦で30試合に出場し6ゴール4アシスト。欧州に渡ってからキャリアハイの結果を残しつつ、これから迎えるプレーオフでの活躍に向けてさらに気を引き締めていた矢先での今回の事態であった。


勿論多くの人命が失われているこの事態、サッカーどころではないというのは当然である。ただ一方で、サッカー選手という寿命が短い職業の中での再起をかけた貴重な1年だっただけに、悔しさや歯がゆさがあることは容易に想像ができる。


しかし、そんな中でも浅野は決して悲観的になることはなく、前を向いている。


「今はサッカーどころではないです、まずは日本を含め少しでも多くの人の命が助かって欲しい。そのために自分には何ができるわけでもないけど、なかなか外に出たり友達と会えない子供たちに悲観的にならないで欲しい。そのためには自分が落ち込んでいる場合ではないんです。」


また浅野はこう続けた


「自分はこれまでの人生で逆境に立ち向かう時、これを乗り越えたらまた成長できる、その先には良いことがある、と思って生きてきました。今回もとても大変な状況ではあるけれど、自分がその姿勢を貫き続ける事で、子供たちが少しでも勇気や希望を感じてくれたらと思うんです。なので自分は決して悲観的にならずに、今できることを精一杯やり続けていきたいと思っています。」


世界中で見えない敵とのいつ終わるか分からない戦いが続き、ネガティブな感情が渦まいている。


しかし、その中でもまずは一人一人が悲観的にならずに、今できることをやり続ける事が大切。

自身のこれまでの人生と照らし合わせた浅野の言葉は、とても重みがあり、また大切なことを私達に教えてくれているのかもしれない。


まだまだ時間はかかるかもしれないけれど、満員のスタジアムにサポーターの声援が響き渡り、その中で選手が最高のパフォーマンスを見せる。そんな最高の週末がまた私達の生活の中に戻ってくる日を目指して。


まずは健康であるために、そして自分の大切な人たちに危険を与えないように


"できる限り家の中で生活しましょう"、一緒に今できることをやり続けましょう。