Column【日々前進2】「幸せの架け橋」

いよいよブンデスリーガが開幕した。


開幕戦となったアウェイでのブレーメン戦は1-1のドロー。浅野は2トップの一角でスタメン出場し、75分までプレー。


ゴールを決めることはできなかったが、攻守に精力的に走り回りアウェイでの勝点獲得に貢献した。



浅野がハノーファーの街に足を踏み入れてから1カ月半。新居も決まり、少しずつ北ドイツの緑豊かなこの街にも慣れてきた。


そんなハノーファー、実は広島市の姉妹都市である。1983年に結ばれた姉妹都市関係は既に30年以上も続いている。


ハノーファーは第二次世界大戦中に多くの爆撃にさらされ、7,000人近くの人々が犠牲になった都市でもある。


ハノーファー中央駅から徒歩圏内に位置するエギディエン教会には、天井がない。これは第二次世界大戦中の空襲で破壊された天井をそのままの形で残すことで、戦争の悲惨さを現在に伝えようという想いからのものだ。


そんなエギディエン教会内には、1945年8月6日の広島に対する原子爆弾投下を説明する石柱碑と、1985年に広島市から寄贈された鐘が存在する。


広島も同じ第二次世界大戦で原子爆弾により多くの犠牲者を出した。


共に戦争により大きな被害を受けたハノーファーと広島、国は違えど戦争の悲惨さを知る両都市が手を取り合うことで、現代に戦争の悲惨さと平和の大切さを伝え続けている。



広島とハノーファー、平和を強く願うこの2つの都市でプレーする事になった浅野は、ハノーファー96加入発表のコメントで「僕は全力を尽くし、ハノーファーのファンを幸せにするつもりです」と語った。


広島の地でプロサッカー選手として歩み始め大きく羽ばたいた浅野拓磨。昨シーズン味わった挫折を力に変え、再び大きく羽ばたくために選んだ地がこのハノーファーであることに、運命的なものを感じずにはいられない。


そんな浅野が迎えるハノーファーの本拠地、HDIアリーナでのホーム開幕戦が今週金曜日に迫っている。


広島からやってきた浅野は今シーズン、そのゴールでハノーファーの幸せの鐘を鳴らしてくれるに違いない。